セックス産業で働く女性は既婚者。夫は妻の仕事を理解。彼女の経験と実態に迫る
「私がしてるのはあくまでも仕事だから。実際に客とセックスしている時も、夫のことしか考えてないわ。」そう語るのは18歳から娼婦の道に入ったオーストラリア出身のイモゲン(仮名)だ。
今22歳のイモゲンには、結婚2年目の同い年の夫がいる。「夫も私の仕事を割り切って考えてるから、理解してくれているわ。」夫に正直に自分の仕事を話しているというイモゲン。娼婦の妻への夫の理解は果たしてどこから来るのだろうか。
「とても恵まれた中流家庭で育てられたわ。」
オーストラリアの中流家庭で、幸せな両親に何不自由なく育てられたというイモゲン。「今でも両親はずっと幸せに暮らしているわ。」虐待、育児放棄などとは無縁の世界で育った。
「娼婦には18歳の時に面接を受けたの。で、その日からすぐ仕事したわ。家に帰って私、娼婦なんだわ、って自覚したの。」その後2年間辞めていたが、大学費用を稼ぐためにまた風俗の世界へ。
今回、イモゲンはSNSで自分の仕事、夫とのことを話した。「みんなが思うような感じじゃないわ。清潔であくまでも仕事よ。」しかし、働き始めの頃はさすがに客を取る時はナーバスになったという。
「夫は割り切りができるタイプなの。」
5年前に知り合い、結婚して2年になるという22歳の夫のことを語る時、イモゲンは幸せに満ち溢れる。「彼は私には完璧な理想の男性だったわ。ブロンドに青い瞳、すごく面白くて、時にはおバカさんで。でもとっても素晴らしい人なの。いつも私に新しいことを気付かせてくれるわ。」
「夫は私にとって陽だまりのような人なの。」イモゲンの仕事のこともきっちり割り切って理解して、辞めてくれと一度も頼まれたことがないという。「でも、もし夫が辞めてって言ったら、すぐにでも辞めるわ。」
周りの同僚たちのほとんどは、自分が娼婦であるということをパートナーに隠しているとイモゲンは語る。「私は仕事だと思うから正直に夫に話したわ。自分がやっていることを恥だと思わなかったら、別に嘘をつく必要なんてないもの。」
「仕事だから。あなたのことをいつも考えてるから。」
自分の愛する妻がいくら仕事とはいえ、お金で他の男とセックスをしているーそんな想像をしただけで、気が狂いそうになる男性ももちろん世の中に存在するだろう。そんな男性はまず娼婦とは結婚はできないが、イモゲンの夫も人間だ。時にはジェラシーを感じることもある。
「仕事の前にいつもあなたのことを思ってるからね、ってメールするの。本当のことだもの。楽しいなんて思ったことないわ。お金を稼ぐためにしてるだけよ。」
1週間のうち、イモゲンが娼婦になるのは1回だけだ。「労働時間は8時間。1時間300ドル(約27000円)よ。そのうちの100ドルが組織に渡って、200ドルとチップが私の収入になるの。」
「基本はベーシック。マッサージと会話。気に入ればセックスもOKよってパターン。キスとかエクストラをしたら50ドル追加料金がかかるシステム。殆どの男性は、初めてでセックスのレパートリーがあまりない人や、妻との冷え切った関係を持った男性が多いわね。」
「セックスなしで会話だけに来る客もいるわ。」
「避妊なしのセックスは問題外。客がどれだけ避妊具なしでやりたくても、断るわ。マッサージだけしますって言うの。そしたら断ってくる客もいるわ。他の同僚はマッサージのみってやってないみたいだけど、私はそこらへんの線引きは厳しくしてる。私って、うるさい娼婦なのよ(笑)」
イモゲンが所属している組織は、セキュリティがしっかりしていて安心だという。「後にも先にも嫌な客に当たったのは1回だけね。とにかく荒くて痛かったから途中で止めてって言ったほどだった。」
どんな客に当たっても、仕事は仕事。常に芝居をして演じているというイモゲン。「10人のうち2人はハンサムよ。だけど他の人には全く感情はないわ。夫以外の人のこと、考えられないから。」
「自分を正当化するつもりもないしその必要もないわ。」
あくまでも仕事として割り切るイモゲン。しかし、明らかに夫の理解があってこそ続けられるのだろう。筆者にはそういう割り切りができる感情はないので、まず無理だ。しかし世の中には理解できる人も存在するのだ。
日本でも海外でも、セックス産業はその国の底辺を支えている。風俗業は同性からは「汚い」と偏見の目で見られがちだが、イモゲンのように「仕事でお金を稼いでるだけ」という女性が働いているのも事実だ。
海外でもセックス産業に足を踏み入れる理由は日本と似たようなものだ。「借金とか、色んな事情があって働いてる子がいるけど、普通に育って、普通に生活できるような子も風俗で働いている。」とイモゲンは語る。
イモゲン自身も、客と顔を合わせた時に「あまりにも普通に可愛い女性」とよく言われるそうだ。「私は100%自分の意思でやってるわ。正当化しようとも思ってない。セックスはセックスよ。だけど自分が割り切ればただの仕事よ。」
そんな仕事が必要な国が世界中に存在する世の中なのだ。そして風俗産業は昔から根絶つことがない。偏見の目でみられることもしょっちゅうだ。しかし、イモゲンの「ブレない」姿が仕事に反映するからこそ、夫との結婚生活も上手くいくのだろう。